廃家電処理は、手作業部分が多く、さらに冷蔵庫やエアコンのフロン分解まで行おうとすると、当初通産省が試算した処理費の2〜3倍になるとの研究結果もあり、事業のフィジビリティは現段階では明言できない。各家電メーカは、実証試験で、大略の処理コストはつかんでいるものの、収集・運搬コストなど現時点では見えていないものもあり、また、回収数量が読めないこともあって、消費者に負担してもらう処理費用を発表するのは慎重になっている。おそらく、「家電リサイクル法」が実施される間際まで、他社の動きも牽制しながら、負担料金の発表を引き伸ばすものと考えられる。さらに、自治体ルートとの価格統一等の問題、価格統一は自由競争を前提とする独占禁止法に抵触する恐れなど、料金決定にはなお紆余曲折が予想される。
ネットワークビジネスの構築は生産施設とは別個に計画・設置することができ、アイデア、スピード、組織化のための営業力があれば成立するもので、多くの投資は必要ないことから、最もフィジビリティは高いと思われるが、他地域との実現までの時間の競争である。
(2) フィジビリティ・スタディ例
今回の調査の中で比較的詳細な事業の諸元が把握できた先進型廃自動車リサイクル事業を例にとって、フィジビリティ・スタディを行ってみる。ここでは、北九州エコタウン内の西日本オートリサイクル(株)殿で教示してもらった諸元を参考に、未知な数字については、全体の整合性を考えて大胆な仮定をおいた。
比較のベースとした前提条件を以下に示す。
廃自動車処理量計画値:当初 1,000台/月 最終 2,000台/月
敷地面積:20,000m2 工場延床面積:5,000m2
設備投資額:10億円 (内訳は表-5・19)
要員:処理量1500台/月まで20人、それ以上:26人(表-5・18)
人件費:表-5・18のように仮定
土地賃借料:北九州エコタウン事業内 125円/m2・月を比較のベースとした。
補助金:設備投資の1/2、5億円が補助され、借入金は5億円とした。
研究開発費として5百万円が3年間補助されるとした。
金利:借入金5億円に対して年率4%とした。
減価償却:設備投資表-5・19に示した償却額をそれぞれの耐用年数で定額法による償却を行うものとした。
再生品販売額:中古部品、スクラップ合わせて2.5万円/台とした。
廃自動車仕入:1台100円とした。
損益分岐点:処理量1,500台/月を損益分岐点とした。
その他の条件:動力費・光熱費、外部委託料、その他など情報が不明確な項目は、損益分岐点からの見合いで対売上比率を適当に仮定した。