6.4 松川浦における水質浄化機能
物質収支モデルで算出された生成・消失量(P)は、底泥からの溶出や巻き上げなどによる生成量、沈降や生物による取り込み、脱窒反応などによる消失量の総和である。このうち、生物の取り込みには底生生物の摂餌、植物による栄養塩の取り込みなどがあげられる。昨年度は底生生物のうち現存量の多いアサリの取り込み量の試算を行った。そこで本年度は、当海域の夏季の主要な植物であるアマモ、アナアオサ、付着藻類について栄養塩の取り込み量を試算した。またこれらの結果をもとに、窒素(T-N)でみた物質消失量Pに含まれる要素を整理し、水質浄化機能の考察を行った。
現場実験で求めたアマモとアナアオサのDIN取り込み速度から潟湖内全体でのアマモとアナアオサによる栄養塩取り込み量を算出した(表-6.11)。その結果、潟湖全体における半日のDIN取り込み量は、アマモで12.41kg、アナアオサで15.73kgと算出された。
次に、後藤ほか(1998)によって、和歌山県和歌浦干潟で測定された底生微細藻類の光合成活性(1.5mgC/mghl.a/hr)を用い、本調査で得られた現存量(クロロフィルa)を乗じて松川浦全体における半日の基礎生産量を求めると、566.3kgNとなった(表-6.11)。
また、ヒトエグサは夏季には生育していないが、参考としてDIN取り込み速度から潟湖内全体での栄養塩取り込み量を算出すると、半日あたりで7.86kgとなり、夏季のアマモ、アナアオサの結果より少なかった(表-6.11)。