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3) 実験によって求めた栄養塩取り込み速度の妥当性の検討

 

本調査で得られた植物による栄養塩取り込み速度について、既存文献との比較を行った。

アマモについては福島県万石浦で生産力(0.17gN/m2/day)が求められており(服部・平野、1979)、1日の日照時間を12時間と考え、万石浦における平均現存量360g乾重/m2から換算すると、39μgN/g乾重/hrとなる。また、マサチューセッツ州のノーセット港で求められたアマモの生産力10.8g乾重/m2/day(ピーク時)、現存量305g乾重/m2(C.Roman・K.Able、1988)を用い、1日の日照時間を12時間として、今回得られたアマモの窒素含有量2.1%から換算すると61μgN/g乾重/hrとなり、今回得られた結果(58μgN/g乾重/hr)は夏季のアマモの取り込み速度として妥当であると考えられる。

アナアオサは成長率の非常に高い海藻であり、1日あたり葉面積で1.7〜1.86倍という報告もある(新村・武田、1976)。また、補強海水を用い、アナアオサの栄養塩取り込みのために最適条件で培養された実験からは、硝酸態窒素の取り込みが最大で0.36μmolN/cm2/hrという結果が得られている(能登谷、1999)。これを1cm2あたり1mg乾重として換算すると、5,040μg/g乾重/hrとなり、アナアオサの栄養塩の取り込み能力のポテンシャルが非常に高いことを示している。松尾(1988)が山口県大海湾で採取したアオサ類から測定した生産量(0.6024mgC/g湿重/hr)を今回得られたアナアオサのC/N比および湿重/乾重比から換算すると、853μgN/g乾重/hrとなり、これは今回の結果(28μgN/g乾重/hr)の約30倍の速さであった。比較したこれらの結果は全て実験室内で行われたものであるが、松川浦におけるアナアオサの取り込み速度も本実験によって得られた結果より大きい可能性がある。

 

 

 

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