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いずれの培養細胞株も理化学研究所・細胞開発銀行から純粋株を購入したものである。

 

1. HeLa細胞(RCBNo.0007)

 

これは培養細胞株の中で最もよく利用されている株の1つである。亜株のHeLaS3株も化学物質の毒性評価に用いられている。

ヒト子宮頸部癌由来の癌細胞で、形態は上皮性細胞様である。増殖が早く、数多くの実験を行うのに適している。

 

2. NRK細胞(RCB No.0043)

 

これは正常ラット腎臓由来の細胞で、正常な二倍体細胞に近い性質をよく残している。従って、この細胞で得た結果は正常な個体の組織を用いて得られた結果と一致することも多く、実験動物の代替株としては有用な面があると考えられる。形態は繊維芽細胞様である。

 

3. GF-Scale細胞(RCB No.0082)

 

これはキンギョ鱗由来の細胞である。この細胞を選定した理由は、これまでの研究で化学物質の毒性評価に用いられたことがあること、水に混合あるいは懸濁した化学物質の検出が目的なので魚類由来の細胞株を用いたいと考えたこと(もっとも淡水魚のキンギョ由来なので海水試料との関連性は特に強いわけではない)、魚類由来の細胞には珍しく37℃で培養することができるので、培養器が1台で済むこと、などである。

形態は繊維芽細胞様であり、増殖能力が比較的高いので培養は容易である。特に形質転換の様子はみられないが、染色体数は108〜264であり、元のキンギョ(キンブナ起源のキンギョの場合は染色体数100)からは変異を示している。

これらの細胞株は各々の好適培養液を用いて、37℃に設定した炭酸ガス培養器の中で培養した。

 

 

 

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