今回の研究では極性を変える目的で蒸留水・エタノール・エタノール/エ一テル混液(1:1)・エーテルの4種類の溶媒を用いる。このうちのエタノール・エタノール/エーテル混液(1:1)・エーテルの3種類について、添加濃度を3段階に変えながら培養細胞に添加して毒性・障害性の強さを調べる。添加濃度の問題は濃縮した化学物質を最終的にどの程度の濃縮倍率で添加できるかに関わる重要な問題である。
2. 前述した毒性・障害性の評価方法、すなわちLDH細胞障害性試験法および細胞増殖に対する阻害活性試験法の具体的な実施方法を決定する。
3. カートリッジカラムヘの海水試料の添加方法、カラムからの溶出方法、そして濃縮方法を具体的に決定する。
4. 方法の適用性を検証するために、細胞に対して毒性や障害性を不すことが明らかになっている3種類の化学物質を標品として選び、最初に化学物質そのものの毒性・障害性を検証する。続いてこれらを人工海水に添加して作製した検定用海水試料を定めた方法で濃縮・溶出し、この濃縮画分の毒性・障害性をLDH細胞障害性試験法および細胞増殖に対する阻害活性試験法で検証する。
b. 調査研究項目
(a) 研究に用いた主な化学物質および培養細胞株についての説明および本補助事業で購入した研究用備品とその用途について
本調査研究では、実験動物の代替材料として培養細胞を用いることが主題の1つとなっている。永久継代系として確立している培養細胞株は多数存在し、その性質は各々の株で大きく異なっている。そこで、今回の調査研究目的に見合う株、すなわち培養が容易である株・化学物質に対する感受性がある程度高い株を選定する必要がある。ただし、すべての培養細胞株の性質を検討することは現実的にできなかった。そこで、すでに入手して研究に用いている株と従来の毒性試験でよく用いられている株について検討し、3種類を用いることにした。