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(ウ) 航海終了時

航海終了時、その航海についての要約および船舶のパフォーマンス予備評価についての報告書がWR会社から運航管理者等に対し提出される。出発港と到着港間の航海距離、出入港月日、船舶位置と時刻と航海距離および平均速力、海流並びに気象・海象による減速量、その航海の平水速力と契約速力、風・波浪の段階別遭遇時間、日平均気象・海象値と日最大値、それに推薦航路と実際の航跡の航路図等である。

船長は、これを次の航海における航路選択の際の参考とすることができる。また、WRS会社にとっても、契約船の過去の航路や航海分析として整理しておき、次の航海で推薦航路を選定する際に、そのサービスの向上に役立つ貴重な資料となる。

 

(3) ウェザー・ルーティングに利用する資料について

大洋を航海する船舶の船上における気象・海象の情報の入手には限界がある。

船上で得られる情報としては各国が放送している気象ファクシミリ、無線またはボイスによる注意警報等がある。しかし、船舶においては、長期の予想天気図をはじめとして、波浪予報、海潮流の予想、霧予報、海氷・流氷の状況、気温・海水温の見通しなど、より多くの有効な資料の入手が望まれている。

これらを補完する意味で陸上から適切な情報を提供することにより、船舶の安全性を確保し、航海時間の短縮および燃料の節約による運航効率を高め、さらに船体および貨物・甲板機器等の損害の軽減、乗組員の快適性追求に寄与しようとするのがWRの主たる目的である。

WRのために以下の資料が活用されている。

 

(ア) 気象データ

・観測データ

世界気象機関(WMO)、気象庁等から提供される世界規模の陸上・海上における天気観測データ。この他、船舶から送られてくる気象情報。

・衛星画像

日本のGMS、米国のGOES、LANDSATおよび欧州のMETEOSAT等の人工衛星から提供される大洋のリアルタイム画像。

大洋域からの観測データは通常まばらである。したがって、低気圧を初期に発見するために、特にそれが発達段階にある場合には、リアルタイムにグローバルなデータが得られる衛星画像データは非常に価値が高い。ここでいう低気圧には亜熱帯低気圧も含まれているが、これはコンピューターによる数値予報では正確に予報しにくい。

 

 

 

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