マイティホエールの発電機の出力は10kW(50kWと交換可能)が1つと、30kWが2つで合計最大110kWの発電が可能とされている。
(b) 温度差発電
海洋温度差発電は、海洋の表層海水と表面から800mぐらいの深層海水の温度差を利用した発電である。この発電方式は、1973年のオイルショック以降、米国、日本において、石油代替エネルギーの一つの候補として挙げられ、本格的に研究が開始された。それに伴い、米国および我が国で温度差発電の性能をチェックしたり、構成機器の性能評価のための実証プラントが建設された。なお、我が国では、温度差発電はサンシャイン計画に組み込まれていたが、サンシャイン計画が縮小されるに伴い、国家的プロジェクトとしては廃止されているのが現状である。一方、温度差発電は深層水を多量に利用することから、高知県深層水研究所、富山湾人湧昇実験施設およびハワイにある深層水研究所で、深層水を複合的に利用することが研究されている。
4] 静穏域創出技術
静穏域の創出は、沖合養殖施設などを目指して、消波構造物を海面に設置して波を弱めることなどが検討され、一部実用化されている。これらの使用が考えられるが、一方、波力発電の項でも述べたように波力発電施設をそのまま静穏域を創出するための施設としても活用可能と思われる。
(5) 技術開発推進に関する課題
本構想においては、各要素技術の研究開発とともに、要素技術独自では経済的に実現困難なものをトータルシステムとして捉えることで実現性をめざすことに真のオリジナリティがある。したがって、技術者はもちろんのこと関連機関相互の連携が必須の条件であり、そのための、仕組みづくりが大きな課題である。また、「要素技術の現状」の項でも述べたように、建造物に対して適切なライフサイクルエンジニアリングを行うことが重要である。
[参考文献]
・鈴木徳太郎、“ライフサイクルエンジニアリングを提唱する”、16、3、50(1984).
・梅田靖、“ライフサイクルエンジニアリング”、43、9、47(1999).
・超大型浮体式海洋構造物(メガフロート)平成9年度研究成果報告書
-概要-、メガフロート技術研究組合.
・メガフロート技術研究組合によるホームページ.
(http://www.dianet.or.jp/mega-float/)
・近藤俶郎編著「海洋エネルギー利用技術」森北出版株式会社(1996).