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表6.2.1-1に各県での取水状況を示す。さらに、1999年度中に沖縄県の久米島で日量1万3,000トンという国内最大の取水能力をもつ施設が完成する予定である。

 

表6.2.1-1 現在日本で実施されている深層水取水システム

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一方で、取水システムの低コスト化や環境への影響の低減が計られている。例えば、大成建設は、深層水取水システムにおいて、海底から地上まで引っ張る取水管を汎用の樹脂管を替えることでコスト削減を実現している。また、取水システムは、海水面と取水位置の高低差を利用するサイフォンの原理を使う方法やポンプによる吸引が一般的であるが、陸上部の貯水層を海面より深く掘って設置しており、掘削などによる環境への影響が問題であった。しかし、大成建設が開発したシステムでは、複数の小型タンクで減圧・加圧を繰り替えすことで連続的に地上に送る方式を用いており、掘削工事が不要で、環境への影響が少なくなると考えられている。さらに、現在、通産省・資源エネルギー庁が、海洋深層水を産業向けに利用・活用する実証プロジェクトを1999年からの5カ年計画でスタートさせている。プロジェクトでは、a.深層水取水技術、b.資源・エネルギー技術、c.環境影響評価技術、d.立地条件部最適システム設計に取り組むことになっている。

 

3] 海を利用した電力創成

海を利用した電力創成技術としては、潮汐発電、波力発電、温度差発電などが知られている。ここでは、特に海洋科学技術センターが開発し1998年9月から実験が行われてる波力発電と、深層水の冷水性も合わせて利用可能と考えられる温度差発電の現状を概観する。

 

(a) 波力発電

波力発電特に、波エネルギー変換装置の歴史は古く、1799年にフランスのジラールらによって、既に特許が申請されている。その後、英国、ノルウエー、日本、米国、カナダ、スウェーデンなどで盛んに研究が行われてきた。最近我が国においては、1998年9月より海洋科学技術センターが、開発した「マイティーホエール」を用いて三重県度合郡南勢町五カ所湾の湾口約1.5km沖合、水深約40メートルの海域で実験を始めている。

 

 

 

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