第4章 海外における海洋技術開発の調査
4.1 はじめに
本調査研究では、海洋のより高度な利用を図って行くために、海洋資源・エネルギー分野、地球環境保全分野及び海洋観測・調査分野など海洋の分野全般について、「海」の果たす役割及び人類の手によって利用・活用できる領域を調査研究するとともに、それを可能にして行くために必要とする技術について、その適用及び応用について検討し、さらに新たに開発すべき技術課題を見出すことにより、今後の海洋利用技術の発展に資することを狙っている。今回、特に「海洋環境」「海洋バイオ」「海洋観測技術」「海中ロボット」等の分野で先導的な研究を行っている研究者を訪問し、研究の現状についてヒアリングするとともに、21世紀の海洋技術の展開について意見交換し、今後の取りまとめに向けた情報収集を行った。調査の詳細は、添付資料として示し、ここでは要点のみ概説した。
4.2 欧州地区
4.2.1 Southampton Oceanography Centre
サザンプトン海洋センター(Southampton Oceanography Centre)は、450名の研究者と480名の支援スタッフを抱える英国の代表的な海洋研究機関である。SOCは、Southampton大学とNatural Environment Research Council(NERC)との共同企業体(Joint Venture)である。世界的に見ても海洋科学、地球科学、海洋技術分野のトップクラスのセンターである。今回の訪問では、Business Developmentとして下記の方針があることを聞くことができた。
・一般の商用製品にはない新しい機器、ビークルシステムを開発する。
・海洋科学のコミュニティ、産業界、政府の支援やコントラクト、あるいはパートナーシップにもとづいて、NERCのための開発を行う。
・In-houseプログラム(Technology Innovation Fundなど)により、民間との共同開発やSOCの開発技術を移転し、直に商用市場(Commercial market place)に出す。
4.2.2 University of Newcastle-upon-Tyne
ニューキャッスル大学海洋技術学部のAtilla Incecik教授に案内していただき、電気電子工学部のOliver R.Hinton教授にLOTUS(Long Range Telemetry in Ultra-Shallow Channels)プロジェクトに関するヒアリングを行った。また、A.Incecik教授に、英国の海洋工学の現状と、主としてEUとの関係について聞くことができた。