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一方で、海外では、光触媒を海洋環境修復に利用する試みが行われている。米国テキサス大学のA.Hellerは、タンカー事故などで海洋に流出した原油の処理への光触媒の利用として、直径lOOμm程度の中空ガラスビーズの表面上に酸化チタン光触媒を担持させ、これを海面に浮遊させた結果、2ケ月程度でほぼ完全に原油が分解されたと報告している。

 

(3) 今後の展望

 

主として原油流出に代表される海洋環境修復に対しては、バイオレメディエーションがきわめて有効な方法であることが認知されつつある。今後は、原油分解の効率を上げる方法として、原油分解生物の遺伝的改良や、生育に必要な栄養素の添加方法の検討を行う必要がある。また、複雑な原油成分の分解は、何種類かの微生物の共同作用により行われるため、原油の各成分を分解する微生物の組み合わせについても検討が必要となる。一方で、吸着剤や光触媒の開発は、我が国が得意とする分野でもあり、バイオレメディエーションを補う方法として今後の展望が期待される。なお、実際の適用にあたっては、環境修復技術自身が環境に過剰に影響を与えないか否かについても十分な検討が必要である。

 

3.6.4 二酸化炭素の海洋貯留

 

二酸化炭素の海洋貯留については、6.2.4「海を通して地球環境を守る」の項において述べるので、ここでは割愛する。

 

[参考文献]

・平野敏行「沿岸の環境圏」フジ・テクノシステム(1998).

・磯部雅彦「海岸の環境創造」朝倉書店(1997).

・原島省、功刀正行「海の働きと海洋汚染」裳華房(1997).

・松永是「おもしろいマリンバイオテクノロジーのはなし」日刊工業新聞社(1996).

・宮地重遠、加藤美砂子「マリンバイオの未来」裳華房(1995).

・松永是「マリンゲノムテクノの大冒険 海からの地球大変革」徳間書店(1997).

・松永是、倉根隆一郎「おもしろい環境汚染浄化のはなし」日刊工業新聞社(1999).

 

 

 

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