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サンゴ礁の衰退については、この他にも、都市排水の流入による栄養塩濃度の増加や大増殖を起こすオニヒトデの食害なども大きな問題となっている。

これに対して、マングローブは、図3.6.2-2に示すような地球全体で約1600万ヘクタールに及ぶ植生域であり、世界の食糧資源確保にきわめて重要な位置を占めている。さらに、熱帯雨林のフロントとして世界の自然環境の維持に、また陸岸の保全に重要な役割を果たしている。

 

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図3.6.2-2 世界のマングローブ分布域

(出典:平野敏行「沿岸の環境圏」(1998))

 

熱帯域に海岸線をもつ国の経済は、何らかの形でマングローブに依存する傾向が強い。例えば、ベトナムでは3200?に及ぶ海岸線が全てマングローブに覆われており、これらは燃料、建材、緑肥などに直接利用されている。一方、その樹木域は漁労、養蜂、海岸の浸食防止などに間接的に利用され、さらに、マングローブ樹木自身からの腐植物質の供給により栄養塩の蓄積した土地は、エビ、カニの養殖池などに転用されてきている。しかしながら、人口増加に伴うマングローブ資源の過度な利用等によりマングローブ林の破壊が進んでおり、現在、その回復のために、官民を挙げてのマングローブ植林活動が着手されつつある。

 

3] 沿岸域での生物資源管理

a. 赤潮

赤潮とは、植物プランクトンの中で、特に渦鞭毛藻やラフィド藻などが異常発生する現象である。赤潮が発生すると、大量の赤潮藻類が死んで分解する際に酸素が消費されるため、養殖されている魚類が酸欠状態になったり、藻類が魚介類のえらに付着することで呼吸障害を起こす。

 

 

 

 

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