(出典:平野敏行「沿岸の環境圏」(1998))
熱帯域に海岸線をもつ国の経済は、何らかの形でマングローブに依存する傾向が強い。例えば、ベトナムでは3200?に及ぶ海岸線が全てマングローブに覆われており、これらは燃料、建材、緑肥などに直接利用されている。一方、その樹木域は漁労、養蜂、海岸の浸食防止などに間接的に利用され、さらに、マングローブ樹木自身からの腐植物質の供給により栄養塩の蓄積した土地は、エビ、カニの養殖池などに転用されてきている。しかしながら、人口増加に伴うマングローブ資源の過度な利用等によりマングローブ林の破壊が進んでおり、現在、その回復のために、官民を挙げてのマングローブ植林活動が着手されつつある。
3] 沿岸域での生物資源管理
a. 赤潮
赤潮とは、植物プランクトンの中で、特に渦鞭毛藻やラフィド藻などが異常発生する現象である。赤潮が発生すると、大量の赤潮藻類が死んで分解する際に酸素が消費されるため、養殖されている魚類が酸欠状態になったり、藻類が魚介類のえらに付着することで呼吸障害を起こす。