(出典:松永是「おもしろいマリンバイオテクノロジーのはなし」(1996))
b. 大型藻類の細胞融合
ノリの品種改良において、交雑法では、遠縁の種間で雑種を作ることは非常に困難である。これに対して細胞融合という技術が注目されている。細胞融合とは、細胞間での接合現象を人為的に引き起こし、両方の原形質(細胞から細胞壁を除いた部分)の一体となった一つの細胞を作り上げることである。ノリにおいて、プロトプラスト(原形質体)分離、融合、融合細胞の培養に関する基本的技術はほぼ確立されており、現在までに、細胞融合したノリのプロトプラストを再生したという報告がいくつかなされている。ただし、融合した細胞の培養についての報告は少なく、細胞融合により実用的なノリの雑種を作る段階には達していない。図3.4.3-3に、細胞融合によるノリの改良の流れを示す。