(2) 主要な技術の現状
1] 水中テレビカメラ
水中テレビカメラは、陸上で使用されているカメラを、耐圧容器に収容したものである。したがって、現状のカメラ技術に対応して低照度や高解像のカメラを入手することが可能である。現在、海洋科学技術センターが、無人潜水機などに搭載する次世代水中カメラの高性能化を行っている。このカメラは、撮影した映像の歪みをコンピュータによる画像処理で減少させる等の高性能化を計るとともに、映像を3次元データとしてコンピュータに取り込む技術も開発している。
2] 音響映像
水中で光はすぐ減衰するために、水中カメラや地上での我々の目のように光を利用した映像取得方式では、遠方にある物体を捉えることが困難である。一方、音波は液体や固体の中で良く伝搬する性質を持つので、水中では音波を用いて遠方にある物体の映像を捉えることが主流である。音を用いて映像を得ることを音響映像と呼ぶが、音響映像の手法としては、以下のような手法が知られている。
a. ビームフォームド映像方式
指向性のある音響ビームで目標を直接走査し、反射波から得られる局部的な映像情報を走査の経路に従って表示画面上に順次組み立てて、目標を可視化する。この方式の変形で、送波アレイと受波アレイを直交させ、送波と受波の扇状ビームを重ね合わせることで鋭い指向性を持たせたクロスファンビーム走査音響映像装置が「しんかい6500」に搭載されている。
b. 音響ホログラフィー映像方式
原理は光学的ホログラフィーと同じで、受信した音響信号からコンピュータ処理により像を再生している。「しんかい6500」搭載の手法に比べて探知距離は2倍弱の約170m、距離分解能では約1/5の0.5cm、画像構成時間は約1/4の1秒である。また、ROV・AUV用ソナーとして、三井造船により観測距離が、1〜100mで、距離分解能が5mm、角度分解能が0.3°および像再生に要する時間が1秒以内の音響ホログラフィーが開発されている。
c. 音響レンズ方式
音は光と同様に波動であり、媒質の性質に大きく依存し、反射・屈折をする。
そのため、この性質を利用して光に対するレンズと同じように音に対するレンズが作製でき、音を結像させることで画像を得ることが可能である。