(4) 地方公共団体の海洋への取り組み
・地方公共団体と国では海洋への取り組み方が大きく異なる。
・地方公共団体の「海洋」に対する利用価値は、主として観光や地域産業振興による地域の活性化。
・国が実施しているプロジェクトとしてはほとんど挙がらなかった、「海洋エネルギー」や「リクレーションの場」、「橋梁、海底トンネル」等についての取り組み例が、地方公共団体では多い。
・福岡県、長崎県、高知県、富山県、蒲郡市等が積極的な活動を実施。
(5) プロジェクトの達成状況
・プロジェクト成否のポイントとしては、予算規模、研究期間、研究体制が妥当な範囲にあることに加えて、いかにポイントを絞り込んだテーマ選定ができるかが重要である。
・全般的には、海洋関連の個々の分野については、それぞれそれなりの成果が達成されているものの、それらは個々の枠の中で終始してしまっており、分野横断性、戦略性が感じられない。
・今後我が国において、将来を見据えた戦略的なプロジェクトを実施することが重要な視点である。
(6) プロジェクトの課題点
・近年、研究開発のフレーム、制度が大きく変わってきており、この動向を十分に踏まえた研究開発が求められる。
・委員からのアンケート回答をみると、失敗プロジェクトの原因は、「中途半端な計画」「ニーズの把握が不十分」「情報の公開が不十分」「最適な体制が組めなかった」ことなどが挙げられる。逆に、成功の要因は、「計画の徹底討論」「研究テーマのポイントが絞られた」「十分な予算」などである。
−海洋分野における技術開発の問題点−
・分野横断的なテーマが実施されていない。
・明確な目的を持った応用研究プロジェクトが少ない。
・研究開発プロジェクトに戦略性が感じられない。
2.2.3 海洋の基本スコープ
これまでに議論した「海洋の研究開発動向」や「先端科学技術の動向」を踏まえながら、海洋利用の全体像を明らかにすべく、海洋の基本スコープとして表2.2-1のように整理した。なお、詳細については図2.2-1に示した。