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5.3 環境情報等のデータベース化

 

以上にくり返し述べたように、改善計画の策定、手法の選択を適切に行うためには、まず対象海域の環境情報を整理し、環境特性や汚濁機構について解析することが必要である。広域的な自然の循環システムを踏まえた解析を行うためには広域的な環境情報の入手が不可欠であるが、そのための情報提供体制は十分に確立されていないのが現状である。

米国のチェサピーク湾では広域的な観測システムが整備され、湾内約160点において継続した環境情報の取得が行われている。国内においてもこのような観測システムを整備することが望ましいが、現在様々な主体が様々な目的で取得している情報を整理し、GIS等によって一元管理するだけでも有効な環境情報データベースとして活用できると考えられる。

沿岸海域においては、様々な事業に関連した環境アセスメント調査、都道府県や環境庁などによる環境モニタリング調査が実施されている。これらによる環境情報の観測方法、分析方法等は多種多様であり、データベースとして統一するためには数値の取り扱いに注意を要する。

このほか、各地で行われている環境改善事業の内容についても情報を収集しておくことは有用である。特に、先行事例においてどのような技術を適用し、どのような効果や問題点があったか、また、効果の予測や評価に際してどのような手法を適用したか等の情報がデータベースとして整理されていれば、新たな改善計画を策定するにあたっての参考資料にできるだけでなく、事業間の連携を図り、広域的、総合的な改善計画を策定するためにも役立つと考えられる。さらに、こうした取り組みを科学的に裏付けするためには、環境改善に関連する研究論文、研究者、研究機関等の情報も収集、整理しておくことが必要である。

必要と考えられるデータベース(DB)の概要を以下に示し、その構成を図-5.2.1に示す。

1)DBの目的

1]海域の特性を把握する

2]水質汚濁の現状を把握する

3]水質汚濁を改善する手法を見いだす

2)DBの構成

1]環境情報

 

 

 

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