(6)漁獲
漁獲は本来環境改善のための事業ではないが、海域で生産された生物体を陸上へ運び出す行為であり、また、沿岸海域の多くの場所で営まれているため、物質収支を通した環境改善への寄与が期待される。
漁業活動は海域の生物生産を利用した活動であり、生物生産があって初めて成り立つものである。このため、漁獲を改善技術として考えるにあたっては、高い生物生産の場の創出、保全とその管理を合わせて検討することが望ましい。
高い生物生産の場の創出技術としては、干潟・浅場造成、藻場造成、磯場・魚礁造成などがあげられる。これらの場には漁業生物以外にも多様な生物が生息し、生物生産を通して栄養塩や有機物の貯留作用を持っている。しかし、生物体が系外へ運び出されることがなければ貯留作用は一時的なものにしかならないため、漁獲による取り上げは、これらの場を環境改善の場として有効に機能させるために重要な役割を果たすと考えられる。