3]干潟の底生動物相とその環境の関係
干潟は、生物量が豊富であることは一般に知られているところであるが、その要因を抽出すると、以下のように考えられる。
a.沿岸、内湾域であり、干潟に生息する生物の餌となる有機物やプランクトンが多い。
b.干潮、満潮による変化で、環境が多様である。
c.水深が浅く、波浪等の影響で貧酸素にならない。
d.水深が浅く、十分な日射が得られる。
また、干潟の形成要因によって生息する生物種は異なる。
・砂質の干潟 ・河口干潟
・泥質の干潟 ・前浜干潟
・潟湖干潟
これらの観点から環境条件を表-2.2.4に示す。環境条件は、以下の項目について整理した。
a.生物の生息基盤 : 規模、勾配、潮位差
b.生物の生息環境 : 底質(粒度、COD、強熱減量)、水質(COD、T-N、T-P)
c.干潟の形成要因 : 干潟の種類、淡水影響の有無、塩分
[結果]
底生生物の多い干潟は、以下のとおりである。
・貧酸素水塊、青潮の影響を受けない、もしくは、影響を受けにくい干潟(盤洲干潟、木曽川河口、知多半島小鈴谷、一色干潟、有明海大牟田)
・底質が比較的悪化している干潟(木曽川河口、知多半島小鈴谷、有明海大牟田)
・勾配がゆるやかで安定していると考えられる干潟(盤洲干潟、三番瀬、一色干潟、有明海大牟田)
また、有明海大牟田で多いのは、潮位差が大きく、多様な環境も要因となっていることがうかがえる。