[結果]
・生物の現存量の低い、大牟田、木曽川河口で浄化量が高い。これは、貝類等の軟体動物に比べ生産力の高いゴカイ類等の多毛類の比率が高いことによる。
・盤洲干潟、三番瀬、小鈴谷、一色干潟では底生動物の現存量に差があるものの、単位面積あたりの浄化量はほぼ同レベルとなっている。
・人工干潟の葛西人工海浜は現存量が低く、浄化量は低い。
[問題点]
・有機物浄化量は、底生動物の現存量に依存するため、一時期の調査結果をもとに浄化量を算出した場合、年間を通じた浄化機能を十分把握することは難しい。特に、夏季に貧酸素水の影響を受け、生物の変動が大きい干潟では、浄化能力が良好に働いているとはいえない。
・文献では、「底生動物の組成をみると、アサリ等の軟体類とゴカイ等の多毛類でほぼ100%を占めており、甲殻類等が優先する場合には算定方法を変える必要がある。」となっているが、今回計算した、伊勢湾、有明海の干潟では甲殻類の占める割合が不明であったため、軟体動物以外を多毛類等として計算した。
この方法は、干潟の底生動物相(現存量)を用いて浄化量を試算したもので、それぞれの干潟の底生動物相を反映したものとなっている。干潟によってこのように差が生じる要因をそれぞれの干潟の特徴(環境特性)から考察する。