表-1.1.2をみると、干潟・浅場造成、藻場造成、覆砂、曝気ではいずれも水中の物質を生物体にかえて貯留したり、その過程を促進することができ、漁獲など生物体の取り上げ方策とあわせて適用することにより、物質収支の改善に寄与し得る。ただし、このうち干潟・浅場、藻場造成では直接的な効果が期待できるのに対し、覆砂や曝気はどちらかと言えば溶出の抑制や酸素供給に重点が置かれており、生物体を生産、貯留することを直接目指した技術ではない。また、海水交換の促進は、生物体にすることなく水中の物質を除去する技術であり、対象海域によっては生物体を介した改善よりも、効果的に物質収支を改善し得ると考えられる。
以上のように、各技術とも物質収支を改善し得ると考えられるが、その効果の大きさや特性は様々であるため、対象海域の物質収支の状況に応じて複合的に適用することが必要である。