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このためには図6.1.2(a)に示すようにマグネット吸着式かつ自走式の溶接機を用いて、溶接機と移動車を機械的に完全分離する方法があるが、現状市販されているマグネット式走行台車では可搬重量に限界があり、本プロセスの2電極溶接機を搭載することは難しいと思われる。そこで実用機としては、図6.1.2(b)に示すように、溶接機の船底外板への押付けは現状通りに移動車からのアームで行い、アームと溶接機の間に自由に動くスライドテーブルを設け、溶接機は独自で走行可能とする方式が適していると考えられる。移動車は溶接機を船底外板に確実に密着させることを主な役目とし、スライドテーブルがストローク限界に達しない程度の走行制御にて溶接機を追従するものとする。

 

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図6.1.2 自走溶接機の機構

 

(3)溶接機の小型、軽量化

プロトタイプ溶接装置の溶接機にはスライド軸が6軸あることはすでに述べた。開発・改良過程を経て、この6軸のうちほとんど不要になったものもある。例えば、X(開先幅方向)軸、Z(溶接方向)軸およびR(前輪ガイドローラ)軸はトーチを開先内に挿入する際にしか使用しない。これらの軸はトーチの小型化と溶接機脱着方法を検討することで省略することが可能と考えられる。

また溶接トーチを小型、軽量化することで残りの3軸であるY(高さ方向)軸、α(トーチ角度)軸およびθ(ウィービング)軸も小型化することができる上、自走移動車のローコスト化および操作性の向上も可能となる。

(4)操作性

溶接機を外板に装着する際、後行電極のシールドノズルと傾斜部エレクトロガス溶接用の内面水冷銅板を船内側より取り付けなければならず、作業性を悪化させている。しかしながら外部から装着可能となる有効な方法がないのが現状で、なるべく容易に着脱できる方法とする。

 

 

 

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