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6. 実用機の設計およびまとめ

 

6.1 実用機の設計

 

6.1.1 実用機の仕様

 

本研究開発における装置の設計、製作、改造および運転実験を通し得られた成果・知見により実用機の仕様を検討する。

 

(1)溶接適応制御

本研究開発を通し、開先ギャップおよび部材傾斜に対する適応制御法を開発し、また目違い、開先加工面粗さなどに対する適用範囲を明らかにしてきた。しかし、現場にてこれらの要因が複合して発生した場合には現状の適応制御のみでは対応できない領域があるものと考えられる。また実際の作業環境および開先精度を考えた場合、より一層の適用範囲拡大が望まれる。特に目違い、段差に関する適応制御法の機能拡大を図る必要がある。そのためには、目違い検出による溶接条件の変更および目違いに対応しやすい摺動裏当銅版形状への改造(図6.1.1)が有効であるものと考える。また一方、工作面からも高精度化への取り組みを強化してブロック精度の向上を図ることが自動化に大きく前進するものと思われる。

 

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図6.1.1 摺動式裏当銅板の改良案

 

(2)装置機構

表6.1.1に今回開発したプロトタイプ溶接装置の主な仕様を示す。溶接機だけで6軸のスライドブロックを有しており、複雑な機構となっている。これら多数の駆動軸が必要となる最大の原因は、自走移動車と溶接機が機械的に連結されているため、相互に影響を及ぼし合っているにもかかわらず、走行面の変動と船底外板の曲率に同時に対応しながらなおかつトーチは開先線に正確に追従するよう複雑な動きが求められるためである。

 

 

 

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