日本財団 図書館


1.9 プロトタイブ溶接装置の設計、製作

 

1.1〜1.8で選定した方法を基に溶接装置、制御装置、溶接条件適応制御装置を設計し、製作を行った。

 

a. プロトタイプ溶接装置の基本仕様

溶接装置の開発に要求される事項をまとめると、船体の内外より足場を介して熟練溶接士が行っている半自動溶接に代わり、船体の外側から開先板厚の変化に対応できる溶接方法と溶接装置全体が溶接部に自動追従できる適応制御システムを確立することである。

そのためには以下に示す方向で開発を要する。

1) 変化する溶接部の状況に常時対応、追従できる適応制御を行う。

2) 高品質、高能率溶接法を採用し能率向上策とする。

3) 最小限操作人員で現状の3倍以上の能率向上させる。

4) 作業者の安全確保、環境改善を行う。

5) 搭載ブロックの状況は現状を基本とする。

これを元に今年度に開発を行ったプロトタイプ開発装置の基本仕様を作成した。

1) 装置名称:船底外板自動溶接装置−プロトタイプ溶接装置

2) 適用溶接部:船底外板部の水平上向き溶接部で板厚16〜19mmの範囲

3) 能率:溶接速度 10cm/min以上

4) 操作人員:1台あたり1人で操作

5) 溶接方式:2電極1ラン自動溶接方式で裏当て式片面溶接

6) 溶接線:水平上向姿勢、および上向〜立向に変化する傾斜部

7) 溶接開先:I型またはV型開先

8) 仮付状態:面内仮付けは行わない。ロンジ材及びストロングバックを使用して溶接部材の固定を行う。

9) 溶接制御:作業員は溶接開始場所に装置をセットして溶接開始ボタンを押すだけの操作を基本とする。溶接開始〜終了までの最適溶接条件設定は倣い、各状況変化に対して全て装置が自動的に判断し行う適応制御とする。

10) 装置価格:汎用品を最大限利用して低コスト化を目標とする。

 

b. プロトタイプ溶接装置の設計・製作

溶接装置の概略構成図を図1.9.1に示す。装置納入後、プロトタイプの自走式知能移動車に取り付け、各電動軸の負荷や軸速度等の調整を行った。本体機構部の性能確認後、電気、シールドガス、冷却水、溶接ワイヤ等の取り付けを行った。図1.9.2にプロトタイプ溶接装置の外観写真を示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION