1.6 溶接部姿勢変化検出方法の選択
a. 角度検出センサの選定
角度検出センサには様々な検出方式がある。ここでは以下の3種類の検出方式について、性能およびコスト面からセンサの選定を行った。図1.6.1と表1.6.1にそれそれの方式の原理と主な仕様を示す。
1]ピボットサスペンション式傾斜角センサ
2]サーボ式傾斜角センサ
3]ファイバ・オプテイック・ジャイロ
船底外板自動溶接装置が溶接する範囲は、水平な船底外板と曲率(1.8〜2.2mR)を有するビルジ外板が想定されており、その溶接姿勢角度は0〜90°となり、かなりの広範囲にわたって角度を測定する必要がある。
選定にあたっては、上記3種類のセンサの中からの測定範囲が今回の溶接対象範囲の姿勢角を測定でき、かつ価格の安いサーボ式傾斜角センサを採用した。
b. 検出データの処理方法
今回選定したサーボ式傾斜角センサは、センサを水平から傾けていくと、図1.6.2に示すように重力加速度の分力(sin成分)が出力され、出力と傾斜角との関係は式1.6.1の様に表される。
溶接姿勢角度を検出するために、センサの出力電圧(v)をシーケンサに取り込み、式1.6.2の計算を行って溶接姿勢角度(°)に変換した。
V=Kxsinθ−(式1.6.1)
θ=sin-1(V/K)−(式1.6.2)
V:センサの出力電圧(v)
K:電圧感度(v/sin90°)
θ:センサの傾斜角(°)
c. 検出センサの制御方法
溶接姿勢溶接条件制御は、図1.6.3に示すように、傾斜センサで溶接中の溶接姿勢をリアルタイムに計測し、傾斜角度に応じて溶接条件データベースの中から最適溶接条件を抽出する。そして、溶接電源に溶接電流指令値および溶接電圧指令値を出力し、溶接台車に溶接速度指令値を出力することによって、溶接条件を制御する方法を採用した。