日本財団 図書館


1.4 溶接部倣い方法の選択

 

今回用いる溶接部倣い用センサには以下の3つに機能が必要がある。

1]開先中心位置検出機能

溶接トーチ位置が開先中心位置からずれると、融合不良(溶接開先に未溶融部が残る)等の溶接欠陥の発生を招く場合があり、溶接トーチを常に開先中心位置に自動的に保持する事が重要である。開先中心位置検出機能は、溶接トーチを開先中心位置に自動的に移動・保持するにあたって溶接開先中心位置を検出する機能である。

 

2]開先の形状計測(開先ギャップ)機能

本装置では、溶接開先形状に合わせて、溶接データベースから最適溶接条件の抽出する溶接条件制御法を採用している。開先の形状計測(開先ギャップ)機能は最適溶接条件の抽出するために溶接開先形状を検出する機能である。

 

3]溶接線方向検出機能

本装置は、図1.4.1に示すように、従来の自動溶接機のように前もって敷かれたレール上を走行するのではなく、溶接線方向を常に検出しながら溶接台車を搭載した移動車を自動操舵走行することによって、レールを用いない方式を採用している。そのため、移動車は溶接線に対して蛇行しながら走行し、当然、溶接台車方向と溶接線方向にズレ角が発生する。

溶接線方向検出機能は、溶接線上の前後2ヶ所にセンサを配置し、それぞれのセンサで検出された開先中心位置のズレ量から溶接線方向を検出するもので、検出された溶接線方向と溶接台車の溶接線に対するズレ角を自動的に補正し、複数の溶接トーチを溶接線上に移動・保持する開先追従機構に用いられる。

 

以上のことを考慮しながら、3種類の溶接開先倣い方法(機械式倣い、光学式倣い、アークセンサ倣い)について検討・選定を行った。

図1.4.2〜図1.4.4にそれぞれの開先倣い方法の原理と今回の装置で必要とされる3つの開先倣い機能の可否を示す。

3種類の開先倣い方法の中で、レーザ変位センサを用いる光学式の開先倣いセンサ方式のみが全ての開先検出機能を有していることから、本装置にはレーザ変位センサによる開先倣い方式を選定した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION