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2. 船底外板自走知能移動車の開発

路面に凹凸のある建造ドック内を自由に走行でき、平行部からビルジ外板の曲率部までの広範囲を追従可能な移動車を開発した。また、移動車のアーム先端に溶接機を設置し、船底外板を上向きにアプローチ可能なプロトタイプ溶接装置を開発した。

移動車の主な機構を以下に示す。

・2輪駆動、2輪旋回操舵の4輪走行方式

・シーソー構造のクレードル方式による走行安定性(路面の凹凸に対応可能)

・伸縮アームとエアシリンダ押上機能による広い動作範囲を実現(平行部からビルジ外板部までに対応可能)

・溶接線の変化に追随可能(溶接線倣い機能)

 

3. 開発装置の運転実験(第一段階)

1および2項で開発した溶接装置を用いて、主に平行部、板厚16mmの部材に対して溶接適用実験を実施し、良好な結果を得た。

 

4. 開発装置の改良

第二段階として第一段階で開発した装置の不具合部の改良および溶接姿勢連続変化への対応機能を開発した。主な開発項目を以下に列挙する。

・ガイドローラを用いた倣い方式および開先ギャップ幅と目違い量の検出方法の開発

・溶接ビード適応制御方法の開発

・ビルジ外板部に対する溶接姿勢制御方法の開発

・平行部から傾斜部までを連続溶接可能な溶接プロセスの開発

 

5. 開発装置の運転実験(第二段階)

平行部から45°傾斜まで変化するモックアップ試験体(溶接長約4m)を用いて、連続溶接を実施し、板厚12〜19mm、ギャップ幅11〜17mm、傾斜角度0〜45°、目違いO〜3mmの範囲で対応可能であることを検証した。また、溶接継手部の機械試験を実施し、継手性能も良好であることを確認した。

 

6. 実用機の設計、まとめ

本研究開発で得られた成果をもとに実用機の基本仕様を作成した。実用機ではアーム伸縮量を十分にとることにより、90°傾斜部まで適用可能とした。また、溶接能率は従来の2.5倍高能率となる。

本研究開発の成果により、17万トンバルクキャリア船(板厚12〜19mm)の船底外板自動溶接が可能となった。また、半自動溶接を併用することでVLCC等大型船(板厚19mm以上)にも適用が可能である。

 

 

 

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