[事例2]物流サービス、Federal Express Inc.
フェデックスは、早期からインターネットのビジネス利用に取り組んできた企業のひとつである。例えば、荷物追跡システムや出荷指示システムをインターネットで構築し、積極的に顧客に提供してきた。そのフェデックスが実験中の最新のエクストラネットが「バーチャル・オーダー・システム」である。
このシステムは、クライアントであるメーカーや卸業者などが、フェデックスのエクストラネットを通じて、WWWでの注文受付から確認、出荷・納品、請求、返品までの一連のデータ処理を企業間で一括して行なえるようにするものである。これまでフェデックスが構築した荷物追跡や出荷指示の個別システムも統合され、顧客側はかなりの業務効率化とコストダウンが見込める。
利用企業のWWWサイトに顧客から注文が入ると、バーチャル・オーダー・システムで自動的にフェデックスの配送拠点のサーバーに情報が転送される。その時点で、フェデックスの荷物追跡用ナンバーとリンクした顧客の注文認識ナンバーが発行され、配送用の送り状とバーコードも印刷される。これにより、自動的にフェデックスによる配送手配が完了し、顧客や利用企業は1つの注文認識ナンバーで、注文内容や配達状況などを確認できるようになる仕組みである。
フェデックスは利用企業に対して、オンライン・カタログの構築と更新を行うツールも無料で提供する。
フェデックスのエクストラネットは、まさに顧客支援システムである。フェデックス自身のコスト削減ももちろん主目的のひとつではあり得るが、顧客との接点にこだわり、関係を維持するということが、このエクストラネットの大きな目的となっているといえる。
顧客の業務に深く入り込み、企業の枠を超えて、システム・オートメーションを図ることで、顧客の維持・囲い込みを実現しようとしている。