(8) エクストラネットの構築パターン
[パターンA]
製造業特有のエクストラネットとして、CALSの流れをくむ「CALS型エクストラネット」がある。
メーカーが中心となって取引先や提携企業をエクストラネットで接続し、主に生産管理におけるトランザクションや情報共有・伝達を行うものである。
具体的には、CAD.CAMの設計データや仕様書、マニュアル等の共有にはじまり、資材や部品の調達・受発注)、プロジェクト管理や共同開発などを行う。大きな目的は、製品のライフサイクルコストの削減やリードタイムを短縮することである。
なお、現時点では製造業のエクストラネットが最も進んでいるといわれている。既に、自動車メーカーや一部の製造業では、業界をあげて共通のエクストラネット構築を進めている。
[パターンB]
流通業界ではこれまで、メーカーや卸、小売、さらには顧客までをネットワークで接続し、サプライ・チェーン・マネジメントやQR(クイック・レスポンス)、ECR(エフィセント・コンシューマ・レスポンス)といった流通革命に取り組んできた。
従って、流通業界のエクストラネットは、この概念を取り入れたサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)型エクストラネットが主流となると考えられる。
SCM型エクストラネットでは、インターネットEDIを中心に、在庫や出荷・納品など製品流通に関する情報や顧客に関する情報を企業間で共有し、取引関係にある企業グループ全体で効率化を目指している。
[パターンC]
全業界に共通するエクストラネットは、企業が大口顧客とダイレクトに接続する形態である。継続的に取引のある大口顧客との関係を強化し、囲い込みを行うことを目的としている。
顧客に対しては、エクストラネットを通じて、24時間受付可能なオーダー機能や問合せ機能の他に、付加価値サービスを提供する。また、プッシュ技術を利用して新製品を知らせるなどプロモーション・チャネルとして活用している例もある。
さらに、このパターンでは、社内教育やシステムサポート、会計など社内業務の一部を、エクストラネットを通じて、専門業者がアウトソーシングとして引き受けるケースも登場しているようである。