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(2) 実装作業により得られた知見

DFFは開発するアプリケーションの内容と種類に依存するので、実装レベルを量的な面から評価することは難しい。しかし、本開発研究で目標としている、検証用アプリケーションの実現に必要な機能はDFFとして実現されており、また、運用時に必要となる共通的な機能も、上記のように実装することが出来た。

一方、DFF実装作業を通して、CORBA環境でのソフトウェアコンポーネント開発に関して種々の知見を得た。以下にその代表的なものをまとめる。

(a) ACIMリファレンスアーキテクチャ上でのDFF実装作業負荷

ACIMリファレンスアーキテクチャに基づき、GFを利用してDFFを実装した。GFによりACIM FLの基本的な機能(属性値へのアクセス、リンクの生成・削除・検索、メソッドの実行等)を利用することが可能であり、特に困難なく、ACIM FLを利用したアプリケーションを実装する感覚で、DFFの実装を行える。

CORBAによるサービスの実装は、IDLの実装言語マッピング仕様を理解するなどの必要があり、また、利用CORBA製品に依存する点も若干あるが、これらに一旦慣れた後では、通常のシステムエンジニアで十分DFFの追加/拡張が行えるものである。

(b) ACIMリファレンスアーキテクチャ上でのDFFの柔軟性

Unix上でC++言語によって実装を行ったが、ACIMリファレンスアーキテクチャの構造上、DFFを適当な他のOSや言語で実装することも当然可能であり、その場合も同様な作業で十分可能であるという感触を得ている。また、ACIM FLとDFFが分散しているので、DFF試験時に一々ACIM FLをリンクする必要もなく、効率的な実装を行うことが出来、ACIMリファレンスアーキテクチャの柔軟性を再確認できている。

また、これはDFFでは行わなかったが、ACIMリファレンスアーキテクチャの構造では、例えば複数のPMを同時にアクセスするDFFといったものも、容易に提供可能であることが分かっている。これは、ACIM FLを直接リンクする手段では簡単には実現できないものであり、ACIMリファレンスアーキテクチャの柔軟性を示す一つの例と言える。

(c) ACIMリファレンスアーキテクチャ上でのDFFのパフォーマンス

実装した DFFでは、各オペレーションでの処理時間は、主に利用ACIM FLメソッドの処理時間に依存するところが大きく、CORBA経由でのPMアクセスに固有のパフォーマンス低下は特に気になっていない。ネットワークの負荷状態によっては、CORBA経由での通信負荷が大きくなり、レスポンスが低下することも考えられるが、これはDFFに限ったことでなく、また、ハードウェア等利用インフラストラクチャの今後の速度性能向上や、CORBA製品の性能向上に期待することが出来るものである。従って、ACIMリファレンスアーキテクチャに沿った実装を行うことで、その柔軟性を享受しつつ、十分実用的なサービスを提供可能なものと考える。

 

 

 

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