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(d) 継続的拡張

ソフトウェアコンポーネントは、最新の分散オブジェクト指向に基づいて開発されるので、ユーザーがこれらを順次整備して行くことによって、段階的、かつ継続的にCIMの高度化を図ることが可能となる。

(e) 造船所既存システムとの連携

市販システムだけではなく、造船所で既に稼動している造船用CAD、ホスト機上の管理システムなど、種々の既存システムとも容易に連携することが可能で、高度造船CIMにスムーズに移行できる。

(2) 造船の常識を表現する実用的なPM

高度造船CIMの提供するPM(ACIM PM)は、従来から人間系で行われていた造船業務の内容や作業手順を詳細に整理し、船という製品情報とその製品に関する常識的な知識を表現した、実用的なモデルとなっていて、その主な特徴は次の通りである。各項目は図7.1-1 の業務マップの中でその位置付けを示している。

(a) カバー範囲が広く、拡張性があること

PMは、船殻・艤装・工作・資源・日程管理等の情報を表現でき、各造船所の実状に合わせたカスタマイズが可能になっている。

(b) 設計意図が表現できること

設計変更や前船データの準同型船や類似船への適用時に、変更個所に関連する部材や機器配置を、整合を保って自動的に追従させることが出来る。また、ロンジとかトランスといった部材の種別の情報も保持できるようになっている。

(c) 成長型のモデルであること

ACIM PMは計画段階における船1隻を対象とした種々のシミュレーションを行う段階から、詳細設計における構造の詳細定義段階まで、連続的に表現することが可能である。

(d) 幾何形状に依存しないモデル構造であること

ACIM PMは外板と内構材とを全く同等に扱うことが出来る、幾何形状に依存しないモデル構造として、扱い易いモデルとなっている。

(e) 概念が異なるモデル間の整合性を維持できること

概念が異なるモデル間の整合性を維持できる仕組みが組み込まれている。

(f) 生産資源情報に基づいてブロック分割や初期操業計画を行えること

建造工場の変更に伴うブロック分割の見直しや、初期段階において、工場・棟・施工場所単位の操業計画が出来るようになっている。

(g) 生産設計情報の自動定義と構造との整合性維持が出来ること

スロット形状と施工法との間に整合性維持の仕組みを実現しており、施工法に応じてスロット形状の半自動設計が出来るようになっている。

 

 

 

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