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6. オブジェクトリクエストブローカーとプロセスモデルの機能評価

前の5.では、検証用アプリケーションの実行を通してPMの機能を評価し、目標とした実用レベルのPMが実現されていることを検証した。ここでは、PMと並んで高度造船CIMの基盤として導入した新しい情報技術、すなわち:

1]分散オブジェクト技術(CORBA)

2]プロセスモデリング技術

3]エージェント技術

を適用して実現可能となる特徴的な事項について再整理し、これらがどこまで実現できたのかについて評価する。

 

6.1 分散オブジェクト技術に基づく開放的なシステム環境

高度造船CIMの提供する環境は、最新の分散オブジェクト技術に基づいた非常に開放的なもので、その主な特徴と、本開発研究による実現度は次の通りである。

(1) 稼動機種に非依存であること

(a) システム的な特徴

ホスト・EWS・PCなどの稼動機種や、OSに依存することなく、ネットワークを介して柔軟な情報交換が可能であり、既存資産の活用と、システム構築時の高いフレキシビリティを提供する。

(b) 実現レベルの評価

本開発研究による実現度については、稼動機種に依存しないシステム環境の実現が確認され、それぞれの造船所CADとの情報交換も検証され、既存資産の活用も可能であることが示された。また、CORBA/COM連携についても、UNIX環境とWindows環境の差を気にすることなく、ソフトウェアコンポーネントを利用可能であることが確認され、システム構築時のフレキシビリティが提供されることが検証された。

(2) 市販システムとの連携

(a) システム的な特徴

市販のデータベースシステムや、PDMシステム等との連携が容易であり、最新の市販システムが持つ、高度な機能を容易に利用することが出来る。

(b) 実現レベルの評価

市販RDBMSやPDMシステムとの、CORBA経由の連携実験は行わなかったが、Windows環境の市販ソフトウェアである、Microsoft Excelと容易に連携できることを確認した。初期生産設計アプリケーションや、造船固有機能コンポーネント群(DFF)の開発作業を通して、CORBA環境下におけるプログラム開発を行ったが、CORBAによるサービスの実装は、IDLの実装言語マッピング仕様の理解と、CORBA製品固有の利用ノウハウの取得が若干必要であるが、一旦慣れてしまえば、通常のプログラミングと差はなく、CORBAサービスの利用についての問題は無いと言って良い。

 

 

 

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