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それで、設計者間での連絡ミスや勘違い、直し忘れなどによって不整合が発生するというようなことが無い。

(6) 生産資源情報に基づいたブロック分割や初期操業計画

PMには工場を始めとして、棟、施工場所、更に装置や作業者に至るまで、生産のために必要な生産資源情報が、その能力や稼働可能期間などを含めて表現できるようになっている。その情報を使うことによって、建造工場の変更に伴うブロック分割の見直しや、初期段階において、工場、棟、施工場所単位の操業計画が出来る。

(7) 生産設計情報の自動定義と構造との整合性維持

(a) システム的な特徴

PMは中間製品ごとに施工場所や施工法を定義できるので、それに基づいて開先情報や、溶接伸ばし情報を設定して部品一品ごとに定義することが、ほぼ自動的に不整合なく実現できる。

スロット等の船殻詳細構造はその部材の施工法と関係しており、この両者をシステム的に関係付けることで、整合性のチェックが可能となる。ACIM PMではスロット形状と施工法との間に、このような整合性維持の仕組みを実現しており、施工法に応じてスロット形状の半自動設計が出来るようになっている。

(b) 実現度の評価

ACIM PMではスロットについてのみ実現できている。機能を他の詳細構造にまで範囲を広げるためには、表現の抽象度を高めて汎用的に利用できる機能とすることが必要で、そのためには更なる研究が必要である。

(8) 日程管理や作業指示情報の表現

日程計画の作業の属性には、施工する対象製品・施工場所・作業者・職種等が設定でき、5W1Hが全て表現されるので、任意の層ごとに時系列に沿った負荷山積みの算出が可能となる。

また、作業毎の前後関係が表現できるので、ある作業はいつまでに完了しなければならない、いつから開始できるなどの、日程管理の必要条件を提供できる。またクリティカルパスも容易に計算できる。

更に、溶接作業に関する詳細な情報として、溶接線方向、のど厚方向を使った溶接姿勢の認識、溶接残し・タック溶接・片面溶接・溶接回し・脚長の変化・パス数・仮止め位置などを表現できるので、溶接作業に関してはソフトウェア面の作業指示情報は全て用意される。

 

 

 

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