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(b) 実現度の評価

上に述べたように、比較的浅いレベルの設計意図は、コンピューターが処理可能な形でACIM PM内に表現できている。一方、より深いレベルの設計意図、言い換えると「美しさ」や「バランス」、「安全性」などといった曖昧な形でしか表現できないものは、最新のコンピューター技術を用いても、コンピューターが判断して自動的に処理できるような形で、PM内に表現するのは技術的に困難で、このような人間の感覚的な判断に基づく意図は、コメントオブジェクトとして、文字でその情報を残すことが出来る仕組みを用意するにとどまっている。この部分については、今後更に研究を進めて、より深い設計意図までコンピューターで処理できるように発展させることが望まれる。

(3) 成長型のモデル

従来のシステムは、情報が確定した段階でのモデル構築が主体であったが、ACIM PMは計画段階における船1隻を対象とした、種々のシミュレーションを行う段階から、詳細設計における構造の詳細定義段階まで、モデルが徐々に成長して行く過程を連続的に表現することが可能である。それで、設計初期段階の確定した情報の少ない段階からモデルの構築を始めることが出来、順次情報を確定して行く、もしくは、新たに情報を追加して、次第に完成状態に近付けて行くことが出来る。

(4) 幾何形状に依存しないモデル構造

従来システムでは、外板と内構材を区別して取り扱うものが多い。部材としては両者に本質的な相違はなく、システムが未熟であるため、システム側の都合によって別扱いとなっているのが現状である。ACIM PMは幾何形状に依存しないモデル構造なので、外板と内構材とを全く同等に扱うことが出来、アプリケーション開発者やユーザーにとって非常に扱い易いモデルとなっている。更に、船殻・艤装モデルとも完全な3次元モデルで、船殻モデルでは、板材はもちろん、骨材のウエブやフェース面も、端部形状などの詳細形状を織り込んだサーフェスモデルを、そして、艤装モデルではソリッドモデルを採用している。従って、3次元実形状を任意の時点で表示したり、殻艤干渉計算を実施することが可能で、設計信頼性が向上する。

(5) 概念が異なるモデル間の整合性維持

従来のシステムでは、船殻で言えば一般配置図において線で表されている区画壁と、船殻部材の情報、艤装では系統情報と艤装品配置情報といった、異なる概念のモデルを同時に扱えるものは少なく、それぞれ別なシステムで扱って、それらの間の整合性は設計者に任されているのが一般的である。このような情報は、当然整合していなければならない情報なので、PMでは区画壁が移動したら、その壁を構成する部材もそれに追従して移動するといった具合に、それらの間の整合性を維持できるような仕組みが組み込まれている。

 

 

 

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