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本実験の結果から、アダプターを用いれば、TRIBONと、設計初期段階でのブロック分割を始めとした種々のシミュレーションや、試行錯誤しながらのモデル構築等といったFLの機能を生かしたシステムとを、相互に補完しながら連携して活用できることが確認された。

なお、曲面外板にからむ形状は、精度を維持するためにもTRIBON側にて1隻単位で構築した形状を使う必要がある。従って、アダプターを用いると、線図システムからTRIBONに直接伝達される情報と、PM経由で伝達される情報の2つのルートが出来上がることになるので、実業務への適用に当たっては、変換作業をスムーズに行うため、運用ルール等を定めて、混乱が発生しないようにする必要があることが分かった。

(3) すみれとPMのデータ交換例

(a) 前提とした利用形態とシステム構成

すみれシステムの艤装設計用モジュールであるすみれFは、機器・管・管支持台・通風ダクト・交通装置・電線・電装金物といった幅広い艤装分野を効率良く扱うことが出来る、造船用の3次元艤装CADシステムである。ただ、すみれFは製品定義の観点では豊富な機能を有しているものの、試行錯誤を伴った工程設計をそのモデル上で行うには、データ構造にやや限界があり、すみれFの製品定義情報を活用しながら工程設計を行うことが出来る何らかの策が望まれていた。一方、本開発研究で構築したACIM FLは、中間製品オブジェクトを始めとする工程設計支援機能を豊富に持っているので、ACIM FLとすみれとを組み合わせて利用する場合は、すみれFの製品定義情報をFLベースのシステムに伝達し、そのシステム上で工程設計を行うのがもっとも効果的、かつ望ましい使い方と言える。これは、機能検証用として開発された工程設計アプリケーションを早速実運用に供するという観点にも合致している。

そこで、すみれFとPMのアダプターは、すみれFからPMへの方向に変換するものとした。具体的には下記の機能を有する。

・すみれFの一つのモデル内に存在する系統情報を、全てPMに伝達する機能

・すみれFの一つのモデル内に存在する系統情報を、系統仕様ごとにPMに伝達する機能

・すみれFの一つのモデル内に存在する経路情報を、全てPMに伝達する機能

・すみれFの一つのモデル内に存在する部品情報を、全てPMに伝達する機能

・すみれFの一つのモデル内に存在する部品情報を、ブロックごとにPMに伝達する機能

工程設計に活用するという観点から、上記の中でも特に詳細配置情報の変換(後の2者)に重点をおいて、開発と機能確認を行った。

 

 

 

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