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(2) 船殻・艤装FLの検証

船殻・艤装FLでは、造船の知識に基づいて、部材の種類や属性などの情報を持ったモデルとなっている。特に、部品間の接続関係については、殻艤の接続関係、溶接接続関係、接続方向などが詳細に表現されている。本アプリケーションでは、これらの情報を用いることで、組立ツリーの自動生成ルールを構築することが出来たので、船殻・艤装FLの有効性を検証できた。更に、従来のシステムでは難しかった殻艤一体のモデル表現も可能であることが検証された。

(3) 資源FLの検証

プロダクトモデル内の設備・資源情報を用いて設備制約チェックルールを実装することが出来た。こうして、PM内の資源情報が、実用レベルであることが検証できた。

 

5.3.8 今後の展望

工程設計アプリケーションを造船所で実用化するに当たっては、以下のような機能について拡張を行っていく必要がある。

(1) 準備作業

このアプリケーションで使用している設備や施工場所など、工場資源に関する情報はあくまでサンプルに過ぎないため、実際に各造船所に対応させるためには、各造船所固有の情報に基づいた情報を登録する必要がある。また、編集用のGUIとして用意している工場配置についても、各造船所の資源に対応した配置に変更しなければならない。

(2) 機能の拡張

(a) 資源制約の拡張

一般的な設備制約の一例として重量制約について取り上げ実装を行ったが、実際の工場では、重量だけではなく、他にも大きさなどの資源制約が存在する。どのような値を基準として工程設計を行うかは、各造船所により異なるため、必要に応じて新しい制約条件を登録しておく必要がある。

(b) 自動工程設計ルールの拡張

自動工程設計ルールを一般的なルールとして構築しているので、各社の使い方によっては、工程設計時に、溶接の開先などを自動定義するルールが必要になる。

(3) 操作性の改善

(a) 幾何形状操作性向上

幾何表示に市販のVRMLブラウザを利用しているので、部品ピックや視点の固定などの幾何形状操作機能については、あまり充実していない。それで、必要性に応じて操作性向上を図る必要がある。

(b) 幾何表示速度向上

部品数200程度の工程の表示については、幾何表示速度としては十分実用レベルにあるが、現状では、特に艤装品の部品数が増加した場合には、幾何表示速度が低下する。それで、表示精度を落とすなどの対策によって、幾何表示速度を向上させる必要がある。

 

 

 

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