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そのため、船殻の場合のように最適な組立ツリーを自動生成するルールを一般化することは非常に困難となるので、担当者が直接、不自然な状態や取付が行いにくい作業状態を回避するなどを幾何表示で視覚的に確認しながら、組立ツリーを編集して行くことを基本としている。

しかし、1ブロックに取り付けられる艤装品の点数は大小合わせると数百点以上にも及ぶので、実際の作業を支援するために汎用的なルールを用意した。

(4) 資源の制約条件の表現〔表の「15」について〕

組立ツリーの組立手順は、割り付られた工場資源の制約条件をクリアしていなければならない。それで、資源クラスフレーム及び中間製品クラスフレームにGTコードの形式で制約条件を追加定義し、この数値を知識ベースで用いることで、資源の割り付けや制約チェックを自動で行えるようにした。ただし、中間製品の形状に関する工場制約については、各社固有と考えられるため、本システムでは、GTコードのみを用意し、重量制約のみのチェックを行うこととしている。以下に資源クラスと中間製品クラスのインスタンスフレーム定義例を示す。

・資源インスタンスフレーム定義:

(defFrame 定盤A :class 資源

(タイプ 設備)(GTコード 150 1000))

#中間製品インスタンスフレーム定義

(defFrame IP-011 :class中間製品

(タイプ nil)(部品 (…))(重量100)(殻艤 識別不要)(GTコード 1000))

資源フレームにおけるGTコードの左側の数値は資源の重量制限を、右側の数値は中間製品の形状に関する制約を表す。中間製品フレームにおけるGTコードでは、中間製品の形状をコード化したものを表す。このため、重量制約をチェックする際には、資源フレームのGTコードの左側と中間製品フレームの重量を比較することとしている。

 

5.3.7 プロダクトモデルの検証結果

本アプリケーションの開発を通して、FLの深さ方向について検証した結果を以下に示す。

(1) 工作FLの検証

工作FLでは、工程設計や作業指示などに必要な情報を表現するために、中間製品や論理作業などのモデルを定義している。本アプリケーションは、このFLを利用して構築した。実船のモデルをアプリケーションでテストした結果、中間製品の関係情報を用いた工程情報や、論理作業を用いた作業指示情報が定義できることが確認された。こうして、工作FLを用いて実用レベルの工程を表現できることが検証された。

 

 

 

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