アクティビティの機能は、与えられた目標を達成するための手順 oと、その最終的な出力 dによって定義される。例えば、船殻設計のFEMによる直接強度計算というアクティビティの機能は、FEM計算の結果船殻構造部材(部材寸法)を出力する行為であると言える。これらの要素に加えて、アクティビティの担当者や、開始・終了予定日、予算が加わってアクティビティの振る舞いが最終的に決まる。
各アクティビティの担当者は、アクティビティを各担当者が仕事の進め方に合ったワークエレメントと呼ぶ要素作業に分割し、この単位で他の担当者と相互に情報交換しながら作業を進める。ワークエレメントは、式4.2-3のように表現される。
ここで、oi, deI、は、アクティビティで定義した、与えられた目標を達成するための手順 oとその最終的な出力 dを細分化したもので、例えば、上述した船殻設計のFEMによる直接強度計算の一部のFEMのためのメッシュ分割と、メッシュ分割の対象となる船殻部材である。
ただ、プロダクトの情報が業務の進展につれて具体化・詳細化して行く造船業においては、ワークエレメントを設計したタイミングで、個々のワークエレメントの出力−例えば作業結果としてPMに生成されるインスタンスの名前―を正確に定義することが困難なので、両者はプロジェクトの進捗に合わせて動的に対応付けられる。
同じドメインのオントロジを共有する設計者同士は、ワークエレメントが分かれば、結果として出力されるプロダクトは推定できると考えられる。それで、作業開始前にdeiが具体的に記述できなくても設計者同士の協業は可能であり、プロセスモデルとして問題は無い。
エンジニアリングレベルのプロセスは、相互に関連付けられた複数のワークエレメントのネットワークとして表現される。ただし、ワークエレメント同士の依存関係(先行後続関係)は、さきに述べた通り、発生する問題や状況に応じて動的に変化するため、アクティビティ同士の依存関係のように、プロジェクト開始前に完全に記述することは困難である。それで、ワークエレメント同士の依存関係は、ワークエレメントとプロダクトの関係と同様、プロジェクト開始前に記述されるものでなく、プロジェクトを進めるうえで行われる設計者同士の情報交換に沿って、動的に追加されるものと考え、情報交換の頻度に応じて依存関係の強度は変化する。
また、ワークエレメント同士の依存関係はアクティビティ同士の依存関係に関係なく定義され、例えば、依存関係のない別々のアクティビティに含まれるワークエレメント同士にも定義される。
ワークエレメントは、本来各アクティビティで担当者の仕事の進め方に合わせて、任意の単位で定義されるものである。しかし、定型化された作業が多いので、あるアクティビティに含まれる標準的なワークエレメントはプロジェクト開始前に定義されており、各設計者は必要に応じて(例外的な作業が発生した場合)新規のワークエレメントを、これに追加すると考えた。