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ビジネス及びマネジメントレベルのプロセスは、主に、図の中間のループで扱われるプロセスである。このレベルに対応したプロセスモデルは、主にマネジャーによる進捗管理に利用され、一般にワークフロー管理と呼ばれる。市販されているワークフロー管理システムが対象としているのが、このレベルのプロセスである。

一方、エンジニアリングレベルのプロセスは、マネジメントレベルよりも細かい粒度の作業単位から構成されるプロセスで、他の設計者の作業との依存関係が重要な情報として認識される。このレベルのプロセスは、主に、図の内側のループで扱われ、対応するプロセスモデルは、設計変更の通知など、設計者同士の情報交換と作業の相互調整に利用される。

最下層のプロシージャーレベルのプロセスは、コンピューターによる自動処理プログラムのロジックに組み込まれたり、設計作業のノウハウを整理した標準文書に記載される、もっとも詳細な作業単位から構成されるプロセスである。

以上のプロセス情報に関する分析結果によって、協業支援の視点からマネジメントレベルとエンジニアリングレベルのプロセスのモデル化が重要であることが分かったので、この2つの階層のプロセスを対象として、プロセスモデルを開発した。

 

4.2.3 アクティビティによるプロセスのモデル化

プロセスの階層に特化しない一般的なプロセスモデルについてと、一般的なプロセスモデルを使ったマネジメントレベル及びエンジニアリングレベルのプロセスの表現について説明する。

一般に、プロセスP(t)は式4.2-1に示すように、相互に関連付けられた複数のアクティビティのネットワークとして表現される。

P(t) = {A, U, D, R, Q; t}..............................式4.2-1

A:アクティビティ A = {a1, a2, ... aJ}

U:資源 U = {u1, u2, ... uK}

D:プロダクト D = {d1, d2, ... dL}

Q:要求事項 Q = {q1, q2, ... qN}

R:依存関係 R = {Ra, Rau, Rad, , Ru, Rd}

t:時間

ここで、アクティビティ・資源・プロダクト・要求事項・依存関係は、マネジメントレベルのプロセスにおいて、以下のように定義できる。

(1) アクティビティ

アクティビティは、1人の担当者の担当範囲や、アクティビティの出力の単位等、作業管理の単位で、ある担当者(あるいはグループ)が担当する作業の範囲(責任を持つ範囲)が明確になる単位とした。

 

 

 

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