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3.6 工作フレームライブラリ共通機能の拡張

工作要領に関する業務は、初期のブロック分割から生産分野の作業指示書に至るまで、多岐にわたっているが、本開発研究では全体業務の中の位置付けと生産性への依存度の観点から、ブロック分割と工程設計に注力している。それで、FLの拡張に当たっても、この2つの業務を支援する実用アプリケーションで利用できることに重点をおいているが、その他の業務も視野に入れ、それらの業務を支援するアプリケーションで必要と考えられる機能や表現能力のうち、重要なものは取り込む形でFLを拡張した。

ここでは、工作FLの拡張内容について、検証用のテストプログラムで構築及び変更等の操作を行った結果の画面も交えて、拡張結果を示す。これらのテストプログラムでの検証によって、船殻構造FLが拡張仕様書通りに拡張されていることが確認された。また、検証用アプリケーションを使った検証によって、実用レベルのアプリケーションが必要とする、機能や表現能力を備えていることも確認された。

 

3.6.1 拡張の概要

(1) ブロック分割面の相対表現

部材の定義面や、他のブロック分割面を基準にして、分割面を相対的に表現できるようにした。船殻構造における相対表現の場合、基準となっている部材等を移動したり変更した場合は、必ず追従するようになっているが、ブロック分割面の場合には、追従するか否かを選択できるようになっている点が異なっている。

(2) ブロック分割面のトリム関係

ある部材の周辺形状を決定する境界が、その部材と交叉する他の部材の形状によって決定される関係を、トリム関係と呼んでいる。EFL/Sでは部材間にこの関係を導入し、トリムしている側の部材を移動・変形させた場合、それに追従してトリムされる側の部材の形状が変更され、設計変更に対して柔軟に対応できるようになっている。

ACIM FLでは、従来部材間でのみ可能であったトリム表現を、ブロック分割面の関係についても表現できるようにして、設計における柔軟性の向上を図った。

(3) 部材の性質を考慮した継手定義機能

部材の性質を考慮した継手定義機能を導入した。条材の場合は、取付線と交叉しない取付線(図3.6-1の左)を定義することが出来ないようになっている。ピラーの場合も同様に、縦に裂く方向(図3.6-1の中)には取付線を定義できない。また、ブラケットなどの二次部材(図3.6-1の右)は、分割面自体の定義は可能であるが、部品化の時に無視されて、複数の部品に分割されることはない。

 

 

 

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