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(2) 表現能力の向上

GPMEの開発研究で開発された船殻構造FLを拡張して、実用レベルのものとするためには、EFL/Sでは表現できない、造船固有の構造を新たに表現できるようにしたり、表現できないことはないが、その構造が造船における意味までは表現できていないものについて、部材種類ごとの性質などを含めて表現して、より柔軟で正確にモデルを構築できるようにする必要がある。

また、特に船殻詳細形状に関しては、それを必要とするようなサンプルアプリケーションが無かったこともあって、スロット形状など一部を除いて、その表現能力は十分とは言えない。実船の詳細構造を実用レベルで表現するためには、条材端部形状、板材のコーナースカラップ形状などについて、大幅な拡張が必要である。また、船殻詳細構造は通常詳細設計時点で確定されるが、ブロック分割検討時点や、設計初期の工法検討時点においても、検討対象部分に関してスロット詳細形状を検討するなど、現実の設計では、工法上で重要な詳細構造形状は、設計初期から検討対象となる場合が多い。

これらを考慮して、船殻構造FLにおける主要な船殻構造と詳細構造について、表現力を向上させるために大幅な拡張を行い、基本的には一般的な商船で用いられる船殻構造の大半を表現対象とし、あまり一般的でない希な構造については対象外とした。

 

3.4.2 拡張の概要

(1) 柔軟性向上

(a) 相対定義の導入

設計変更に対して柔軟に対応できるようにするため、定義する対象の位置や形状を他の情報を基準にして、相対的に定義できるようにしたので、基準の位置や形状の変更に対して追従させることが可能となった。

造船所でのニーズ調査などを実施した結果、相対定義は以下を対象として導入することとした。

・フリーエッジとループドエッジ

・条材取付線

・継手

・ブロック分割面と分割線

・構造詳細パターンの基準位置

これらの位置や形状を、基準となる他の板材のフリーエッジとループドエッジ、条材の取付線と端部位置、継手、ブロック分割面と分割線、更に、部材間の接合線などからの相対的な定義で表現できるようにした。

 

 

 

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