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しかし、これら実稼動しているアプリケーションの存在を無視して、高度造船CIMを構築することは現実的ではなく、何らかの手段でACIM環境に適合させる必要がある。既存アプリケーションをORB対応とするために付加するソフトウェアを、ラッパー(Wrapper)と称し、このプログラムを介してLAからPMにアクセスしたり、高度造船CIMの提供する各種サービスを利用することが可能となる。逆に、既存アプリケーションが有する機能を、ORBを介してネットワーク上の、他のコンポーネントが利用することも可能である。

ラッパーを付加することで、造船所で稼動している多数のアプリケーション資産を、開放的な分散オブジェクト環境の下に統合化できるメリットは大きく、ORBを利用する利点の一つでもある。また、これにより、既存アプリケーションの機能を、将来にわたって存続させることも可能となる。

 

2.3.9 ACIM 共通サービス機能群

(1) ACF

ACFは、造船業のスキーマ(FLの論理構造)に依存せず、高度造船CIMで使うアプリケーションに共通して利用できるサービス群である。

(2) ACFの開発方針

ACIMリファレンスアーキテクチャの特徴の一つは、そのオープンさにあり、市販ツール等の外部ソフトウェアコンポーネントに対して、簡単なラッパーを付加することで、容易にACIM環境に取り込むことが出来る。それで、ACFに含まれるサービスは、全て作り込むのではなく、利用可能な市販の汎用ツールが持つ機能をどんどんシステムに取り込んで、利用しようという考え方としている。このように、外部ソフトウェアコンポーネントを、容易に取り込む仕組みを持っているので、利用可能なサービスの増加や改訂など、利用環境の向上を極めて容易に行うことが出来る。

一方、実運用時に必要となるPM管理支援や、協業支援環境構築の基本構成要素となるエージェント支援機能など、高度造船CIM固有の支援ツールも用意する必要があり、これらは造船業のスキーマとは独立のサービスなので、ACFのサービス群として実装した。

(3) 実装したACFサービス群

検証用アプリケーションの実運用と、協業支援環境構築に必要なものとして、以下の3つを選択し、サービス機能群を実装した。

(a) スケジュール管理

プロセスモデルに基づく協業支援システムを実現するために必要な、作業スケジューリング機能の整備を目的として、市販プロジェクト管理ツールを利用して実現したサービス群である。

 

 

 

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