日本財団 図書館


高度造船CIMのシステム的枠組みを示すACIMリファレンスアーキテクチャも、CORBAに基づいて策定したものである。米国のNIIIP(National Industrial Information Infrastructure Protocols)等、将来の企業間連携を目指した先進的プロジェクトもCORBAを採用しており、また、CORBAベースの実用システムも増加していて、CORBAに準拠することは、オープンシステム環境を構築するうえでの常識となったと言える。

一方、Windows環境との情報交換は、既にCORBAの正式規約として制定されており、市販ORB製品のCORBA/COM連携を利用して、EWSとPCの連携実験を実施し、CORBA環境と、WindowsのCOM環境間の情報交換は、容易に構築可能であることを検証済みで、COM環境で提供されるソフトウェアコンポーネントのサービス(分散オブジェクト)は、CORBA環境でも簡単に利用可能であり、その逆も同様である。

このように、高度造船CIMは 基本的にCORBAに準拠しながら、Windows環境やホスト環境を問わず、ネットワーク上のあらゆる分散オブジェクトを利用できる、非常にオープンなシステム環境であると言える。

 

2.2.2 CORBAとDCOMの概要と最新動向

CORBA及びDCOMの技術的背景、特徴や最新の動向の概要を説明する。なお、最新動向の詳細は、付録として添付する。

(1) CORBAの概要

CORBAは、異機種の分散環境における、統合化されたオブジェクト指向技術を提供するための基盤である。核となる通信インフラであるORBと、汎用性の高いAPI(Application Programming Interface)である各種サービスやファシリティを、実装言語を問わず共通のIDL(Interface Description Language)を介して、アクセスすることが出来る。CORBAは分散オブジェクト技術に関する標準にとどまらず、概念として、分散環境におけるシステムアーキテクチャを示している点が重要である。

(a) CORBAの概念

CORBAの基本概念は次の3つに集約される。

1]オブジェクト指向モデル

2]開放的な分散コンピューティング

3]ソフトウェアコンポーネントの集成と再利用

これにより、ソフトウェア資産の有効活用、規格化されたソフトウェアコンポーネントの流通の促進、アプリケーションソフトウェアの品質向上と、柔軟で拡張性の高いシステムアーキテクチャの提供が実現される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION