(3) 木材資源
木材は東南アジアと並んでロシアが誇る資源である。ロシア材は松属の丸太が主力である。日本向けでは1997年には、米国材を抜いて首位を占めた実績もあるが、少なくとも現在では対アジア貿易におけるロシア材の重要性は低下している。しかし、東南アジア材や北アメリカ材の生産にも陰りが見える昨今では、将来的にはロシア材への期待が再び高まるとの予測がある。ロシアのタイガ樹林は、年々山火事で膨大な面積の森林が焼失し、炭酸ガス発生による大気汚染、永久凍土への影響などが懸念されているが、森林保護、ひいては地球環境保護のためにも乱伐を避け、更に計画的な木材生産が実施されることが望まれる。
(4) 鉱物資源
近年有望な対ロ輸入品目としてアルミ・同合金・ニッケル地金が浮上していろ。ただし、ロシアにおけるアルミ精錬は欧米の貿易商社の委託生産によって行われる「トーリング」であり、材料輸入もロシアからの直接輸入ではなく、欧米の貿易会社との輸入契約を介して行われている。ロシア商品の荷動きについては、間接的なものが少なくなく実態調査に基づく将来予測等では注意が必要である。
(5) 流通
北極海航路による海上輸送に対抗する輸送路は、空路とシベリア横断鉄道による鉄路がある。トレーラ等による自動車輸送は、輸送距離が長く、かつ道路状況が悪いことから対抗馬とはならないが、いわゆるLand Bridgeや、複合一貫輸送システムの構想については検討しなければならない。