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シミュレーション結果

NSR科料(通行料)の検討

NSR通行料は運航コストの重要な因子である。高額の通行料を適用すると、スエズ航路に対して競争力がなくなる。そこで、一連のシミュレーションを行う前に、平均的な氷況を用い月別のシミュレーション(MVS)を行い、適正な通行料のレベルについて検討した。目安として、スエズ経由とNSRの運航コストを比較し、少なくとも40BCでNSRの運航コストがスエズ経由より約半年間有利になるレベルを設定した。その結果、大型船に対して外挿した値(表4.4-6)より更に26%減じる必要があることが分った(表4.4-7)。26%減の値をNSR通行料として、以降のシミュレーションに適用した。

 

トランジット航路(北航路、南航路)の結果(MVS)

喫水の関係から、40BCと50BCは北航路を、25BCは南航路を航行する。1957〜1990年の氷況データを用い、MVSによる計算を行った。一例として40BCの1979、1980年の月別の航海日数を示す(図4.4-8)。Ice Indexに対して、速度が確率分布を持つので、そのバラツキは小さいが航海日数も分布を示す。平均値と1%、99%テールの値も併せて示す。MVSにより求めた25BC、40BC、50BCの月別の平均航海日数とその内訳を見る(図4.4-9)。40BCでは、最長の航海日数は3月の44.1日(内NSR26.8日)、最短は9月の30.7日(内NSR15.7日)である。50BCは最長が3月の42.7日(内NSR27.3日)、最短が9月の28.8日(内NSR16.1日)である。50BCより40BCがNSRの通過時間は若干短いものの、全体の航海日数は50BCが40BCより約2日間短縮できる結果になった。

 

表4.4-8 月別のトランジット航路の1航海の総コストと運賃

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図4.4-8 408Cの航海日数の一例(1979、1980年)

 

 

 

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