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3.3.6 氷丘脈

 

海面を覆う海氷は、厚さが一年氷で1〜2m、多年氷でも3〜4mであるから、その面積に比べて極めて薄い。風や海流、潮流などによって動かされながら、剪断力を受けて割れ、水面が顔を出す。割れ目は大きく広がって水路となることもあれば、若干の時間の後に閉じることもある。その間に水面は結氷して薄い氷が張りつめるが、閉じる時に押しつぶされて上下にはみだし、もとの氷の上に堆積する。その重みで最初の割れ目に平行する新たな割れ目が入り、傾斜して更に押しつけられると同じ厚さの氷同士が積み重なるようになる。このようにして最初の割れ目に沿ってできる氷の山脈を氷丘脈という。その時、水中にも氷が押し下げられて堆積が生じているが、これを竜骨氷という。多年氷中の氷丘脈の平均高さは通常2〜3mであるが、時には8mを超えるほどに発達することもある。

多年氷において、氷丘脈の高さに対する氷の厚さの比をとると、0.9〜1.5となり、北極海中央部のアイスマッシフでは氷が厚く氷丘脈が低いのに対し、カラ海南西部やチュクチ海などの縁辺海域では、氷の厚さより高い氷丘脈が現れる。北極海の多年氷の氷丘脈の高さの分布図を見ると、カナダの沿岸沖が3mと高く、NSRの大陸棚上は1〜1.5m程度であることがわかる。

 

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一年氷域の水路と氷丘脈(写真:小野延雄)

 

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多年氷中の氷丘脈の平均高さ(Romanov, 1994)

 

 

 

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