遙か上空から地球を眺める楕円軌道のオーロラ衛星で撮影したオーロラ画像からは、地表では見ることの出来ない昼間の部分にもオーロラが発生しているのを見ることができ、オーロラの全貌を知ることができる。環状のオーロラ発生域をオーロラオーバルと呼んでいるが、夜間のオーロラはオーロラ帯とほぼ一致するのに対して、昼間のオーロラは地磁気緯度の75〜80°付近にあってオーロラ帯の内側に位置している。ユーラシア大陸沿岸のNSR海域は極光帯の下に位置するので、白夜の季節をはずれ、天候に恵まれれば、オーロラを眺める特等席となる。
地球磁気圏は、太陽風プラズマや宇宙線の地上到達を防いで地球生命を守ってくれているが、太陽の反対側から地球の磁力線に導入されてオーロラを発生させるプラズマは、短波通信、航海無線、高圧電線等に重大な影響を与えることがある。太陽表面で大きな爆発が発生すると、活発なオーロラ活動とともに、地球磁場の変化が起こる。地磁気の変動の大きなものを磁気嵐と呼ぶ。地上に誘導電流を生じ、この電流がオーロラ直下の高圧電線や石油パイプラインを流れる。カナダでは変圧器が発熱して大規模な停電を起こしたことがあり、アラスカやシベリアの石油パイプラインではパイプの腐蝕を起こしたこともある。オーロラの特等席に位置するNSRにとっては、強い磁気嵐のときには、衛星測位や衛星利用の海氷情報受信が不能になることも考えておかなければならない。