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少し奥に入ると、かなり汚れた川もあります。捨てられているものも、生ゴミ、不燃ゴミ、大型家具、冷蔵庫、自転車、動物の死骸、時には人間の死体まで、さまざまです(写真5])。ヘドロが多くて船のエンジンが動かず、曳いてもらったこともあります。

少々の雨でも決行しますので、この10年間で休んだのは1〜2回です。掃除の後は参加者全員でお酒を飲んだり食事をしたりして、楽しみながらやっています。このような清掃活動を続けていると、市民がどんどん川に関心をもってくれますし、町自体も変わってきます。

川の護岸はほとんどコンクリートですが、1ケ所だけ400mほど土の部分があります。そこに平成2年5月から毎週日曜日、紫陽花やチューリップを植えて手入れをしてきました(写真6])。水や電気などは付近の住民が協力をしてくれます。

 

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大量に捨てられた自転車(写真5])

 

川に親しんでもらうためのイベント

中村 ひょうたん島の周囲は約6km。毎日午後1時から4時までの間、40分おきに5本、徳島市の広報船「ひょうたん号」がひょうたん島クルーズを運航しています(写真7])。

船は14人乗りで無料、年間2〜3万人の利用があります。徳島県庁前のヨットハーバーは川巡りの中でも最も景色の美しいところです。県庁の前にヨットハーバーがあるのは、全国でも徳島だけでしょう。船から岸を見ることも楽しいことですが、船に乗っている人を岸から見るのも楽しいことです。

私たちの会では季節に合わせていろいろなイベントを開催しています。初夏には紫陽花パーティーや紫陽花遊覧船、夏には阿波踊り見物船、秋には雅楽の演奏会、クリスマスの頃には船にイルミネーションを施してケーキやプレゼントを川沿いの家に配る「サンタが川からやってくる」というイベントを行なっています。

 

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植栽された川の土手(写真6])

 

船の中ではお酒を飲んでも楽器を弾いても構いません。とにかく楽しくやってもらうことを第一に考えています。また若い人に参加してもらうため、橋上結婚式やFM水際放送なども随時やっています。

2年ほど前からは、毎週第2土曜日に新町川河口にある徳島漁協の「とれとれ市」まで船を出しています。この市は値段は少し高いのですが、新鮮な魚が手に入るので多くの方の利用があります。この活動を通じて漁協の方とも親しくなり、来年の5月には阿南市の沖合いにある伊島付近で「紀伊水道クリーンアップ作戦」を一緒に開催することになりました。

 

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徳島県庁前のヨットハーバーとひょうたん号(写真7])

 

伊島には大阪や吉野川から流れてくるゴミがたまり、何千トンという層になっています。当日は関西方面から約100名、吉野川上流からも約50名が参加し、合計200名で清掃を行なう予定です。

 

 

 

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