日本財団 図書館


ワークショップvol.13

運河の活用と周辺整備─大都市の海辺の未来─

 

視察 神戸港の船上視察

 

神戸市の視察船「おおわだ2」にて、神戸湾の中突堤を出発、ポートアイランドと兵庫埠頭の間を南に進み、第一防波堤を出て西へ向かう。明石海峡大橋の見える須磨あたりで折り返し、約1時間後に元の中突堤に戻るコースで船上視察を行った。

 

神戸港の概要

説明:栗村優氏/神戸市港湾整備局技術部主幹

 

●ポートアイランド、六甲アイランド周辺

ポートアイランドでは、昭和40年代に始まったコンテナ輸送に伴い、本格的なコンテナバースが整備された。第2期工事では、日本初の水深15mのコンテナバースが整備中である。また平成11年9月からは、神戸空港の建設も始まった。中突堤地区には小型船やクルーズの発着場があり、年間約35万人が神戸港クルージングを楽しんでいる。第一防波堤から西側は、500トン未満の内航小型船の荷役が行われている。

●須磨海岸周辺

神戸市の海岸整備事業によって、約3kmにわたって離岸堤と養浜が整備され、年間80〜100万人が訪れる。東側には、神戸市営の須磨ヨットハーバーもあり、休日には淡路方面へ船で釣りに出かける人々などで賑わう。西側の須磨海釣り公園は、神戸市産業振興局の整備。

●神戸港の防災計画

満潮時に想定台風が神戸港を通過した場合、海面の高さは約3.7mになると予測される。したがって、護岸は海面から7〜9mの高さとなっている。コンクリート護岸やテトラポットは、海側から見るとあまり見映えはよくないが、私たちの生命と財産を守る重要な工作物なのである。

 

017-1.gif

「おおわだ2」船内風景

 

017-2.gif

●船上視察ルート

 

兵庫運河について

宮本一夫氏/神戸市兵庫区市民部まちづくり推進課長

 

兵庫の津は、その地形から風や海流の影響を受けやすく、難破や遭難が多い場所であった。明治7年、神田兵右衛門の提言で運河の開削が計画され、翌年新川運河が完成。資金的な問題などがあったものの、跡をついだ八尾善四郎らの努力によって、明治32年に兵庫運河全体が完成した。

かつては海運の水路としてたいへん栄えていた兵庫運河も、船舶の大型化に伴い、現在では主に沿岸の工場の荷揚げ場あるいは貯木場となっている。また運河の水質が悪化したため、昭和46年、運河周辺の企業によって「兵庫運河を美しくする会」が設立された。この会は地域の自治会や婦人会も含めた「兵庫運河美化連絡協議会」という大きな組織となり、現在も活動を続けている。平成5年、「新川運河キャナルプロムナード」が完成。また平成10年にはプランナーや建築家が発起人となり、兵庫運河一帯で「世界運河祭」が開催された。

 

「兵庫運河を活かした街づくり委員会」

大原哲誠氏/神戸商工会議所兵庫支部事務長

 

神戸商工会議所では、昨年から歴史と文化を活かした街づくり事業に力を入れ、今年は兵庫区と協力して、「兵庫区歴史フェア'99」を開催した。

また今年6月には「兵庫運河を活かした街づくり委員会」が発足した。委員会は地元の街づくり活動団体、企業、有識者で構成され、運河とその周辺の街の将来像についての意見交換・研究を行っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION