出典:滋賀の河川(滋賀県土木部河港課/平成7年3月)
琵琶湖と自然−四訂版−(滋賀県生活環境部/平成9年3月)
琵琶湖の現状と課題
琵琶湖は近畿圏の約1400万人の水源であると同時に、周辺には約120万人が生活しています。つまり120万人分の汚濁負荷を抱え、同時に湖の魚が食用にされる、まさに生活に密着した湖なのです。
全国の湖沼の水質をCOD(化学的酸素要求量)値でみますと、きれいな湖とされる十和田湖は1.5mg/l、阿寒湖は3.2mg/l、尾瀬沼は3.5mg/lです。逆に、霞ケ浦や手賀沼、諏訪湖などは汚れています。琵琶湖はこれだけ負荷が入りながらも、北湖で2.8mg/l、南湖が3.5mg/lですから、比較的きれいな状態を保っていると言えます。ただし、環境庁の定めた環境基準COD値1.0mg/lは、まだ満たしてはいません。また、富栄養化の原因となるT-N(全窒素)についても基準を満たしていません。T-P(全リン)の環境基準についても、北湖では最近達成しましたが、南湖は未達成です。
その上、CODや全窒素が漸増しています。特に、CODが1985年頃から増えているのに対して、BOD(生物化学的酸素要求量)は減少しています。原因はわかっていませんが、このCODとBODの乖離現象は、琵琶湖の課題の1つです。
また、淡水赤潮やアオコがほぼ毎年のように発生していますし、水道水におけるカビ臭も頻繁に報告されています。最近は、新たにダイオキシンの問題や環境ホルモンの問題なども出てきました。