(1)フィリピン国立航海技術訓練センターの拡充
STCW条約に定められている『技術協力の促進』を意識して海外技術協力(国際協力事業団JICAの所掌)が行われたのは、フィリピン国立航海技術訓練研修センター(NMP)に対するものであった。
この技術協力は、1983年から1993年の10年間にわたる教育訓練機材及び訓練棟の建設(総額約37億円)並びに技術移転の専門家7〜5名を派遣するというプロジェクト方式(JICAの呼称)による同研修センターの拡充であった。
技術協力開始当初、マルコス政権からアキノ政権への政変に遭遇し、予期された教育訓練成果が得られなかったが、1998年の受講生は1万1,160人に達し、これまでの累計は9万7,737人を数えるに至っているとされる。
フィリピンは、世界一の船員供給国で、48万人が船員登録し、うち20万人が外国籍船に乗船しているといわれ、そのうち約2万人が日本船に乗っていると推定されている。
フィリピンもSTCW条約のホワイト・リストに公表されるよう国内体制の整備に懸命の努力をしているが、NMPもそのために一役も二役も果しているに違いない。
(2)発展途上国への技術協力
このNMPへの機材供与、技術協力に導いたものには、
1973年から1982年までの
マレーシア航海機関士養成センター(ウンク・オマール・ポリテクニック)
1977年から1983年までの
エジプト、アラブ海運大学校
に対する我が国の海技従事者の並々ならぬ努力と相手国の評価を通じてJICAプロジェクト方式援助の優等生とみなされていることによる。
そして、これらに対する評価は、更に、
1990年から1993年までの
アルジェリア・ブーイスマイル高等海運学校
1993年から1998年までの
タイ船員教育訓練センター
1994年から1998年までの
パナマ航海学校
1996年から
モロッコ高等海事学院