(6)海事教育・訓練機関としての共通の課題
1]SOLAS条約及びSTCW条約改定に伴う海事教育・訓練機関の対応 :
アジア太平洋地区の海事教育・訓練機関の多くは、教員や施設の不足に悩んでいる。この中で各機関がどのような対策を取っているかを話し合うと共に、相互協力の可能性について考える。
2]新しい教育設備の導入 :
最近の海事教育にはシミュレータが導入されるようになってきているが、こうした最新機械を使った教育方法の研究成果等について話し合う。
3]運航技術の改善 :
船舶運航の安全性向上と環境問題は現在の船舶運航における大きな課題である。
こうした問題に対する教育機関としての対応について話し合う。
4]国際協力 :
余裕のある教育機関と手を組むことにより、高いレベルの船舶職員養成の可能性について話し合う。
(7)国際海事教育者会議との棲み分け
IMOには国際海事教育者会議(IMLA: International Maritime Lecturers' Association)という海事教育者の集まる会議がある。これは教育者個人としての集まりであり、学会と同様な集まりである。これに対してAMETIAPは教育機関の集まりで、組織としての問題について話し合うことを主体としている。
(8)日本海運への影響
現在、日本の海運会社において船舶運航を支えているのは多くの外国人船員であり、その中でもアジア太平洋地区出身の船員が多い。AMETIAPにはこのような船員を教育している機関が参加しているので、AMETIAPメンバーの持つ問題点や課題は日本海運とは無関係でない。ついては、こうした問題点や課題に積極的に取り組むことにより、日本が支配する船舶に乗り組む船員の教育レベルを向上させることが可能となり、その結果として、日本海運の安全運航に寄与することとなる。
こうした状況下においてAMETIAPを開催することは、アジア太平洋地区の船員教育・訓練機関が抱える問題や彼らの希望を知る機会であり、今後、彼らの船員教育に対して日本としてどのように協力できるか考える上でも重要な会議であった。